難病なう〜不治の病と共に生きる

【変化はほどほどに】

〔退院以来初めての嘔吐〕

それは突然やってきた

油断した,そうとしか言えない事態になってしまいました。“それ”は突然訪れました。

前回の投稿でもふれたように,私は現在プロテインを摂取しています。詳しいことはまた改めて記事にしますが,一日の始まりに最初の摂取をしています。その日もいつものようにプロテイン水溶液を飲み干したところ,胃の辺りに強烈な違和感を覚えたのです。
私は数分間こらえましたが持ち堪えることができず,トイレに駆け込み嘔吐してしまいました。

嘔吐するのは熊本大学医学部附属病院(私の入院当時の名称,現在は〈熊本大学医学部附属病院〉に改称)でお世話になっていた時以来のことで,なかなかにショックな出来事でした。
嘔吐だけでもショックなのに,服用したばかりの処方薬の殆どを吐出してしまっただろうことも残念でした。
私は直前に妻にパーフェクトコーヒーを淹れ,
「今日は結構調子がいいぞー」
と喜んでいたものですから,反動による落ち込みが大きかったです。

ほんの数分前までは絶好調だったのに,嘔吐した後私は半日間も床に臥せってしまいました。

パーフェクトコーヒーは淹れるのに少々手がかかります(使用する食材の正確な計量など)。その準備の間に体調を崩すことがよくあるのです。パーフェクトコーヒーを上手に淹れられた日は,ほぼ例外なく体調が良いのです。

少しの油断が招いた大騒ぎ

私は当日,起床時から満腹状態でした。にもかかわらず,プロテインを一気に飲み干してしまったことが,騒動の発端になったのです。ここのところ調子が上向いてきたと感じていたことからくる油断でした。
その影響で,当初の予定を大幅に変更せざるを得ませんでした。自身はもちろんのこと,家族にも迷惑をかけてしまったのです。

三年ぶりの嘔吐は,辛く苦しかった入院・闘病生活を思い起こさせました。あんな辛い思いは二度としたくない,私は瞬間的に襲ってきたフラッシュバックに耐えながら,強く思いました。

布団に転がり込んだ私を,家族性アミロイドポリニューロパチーの既往症が襲います。急激に襲ってきた便意に抗う術もなく,私はトイレによたよたと移動します。影を潜め今まで知らないふりをしていた水様便は突然正体を現して私を苦しめます。そうして私が一週間かけてせっかくためこんだ栄養は棄てられ,体重は50kg台に逆戻りです。

排便は20分間ほども続いたでしょうか,その後トイレから出てきた私は,夕方まで寝込むことになったのです。

状況を落ち着いて理解する

ここで話が終わってしまえば,ただの残念なエピソードで終わってしまいます。私は床に臥せりながらも,懸命に思考を巡らせました。そしてそこで一つの気づきを得たのです。

それは当たり前のことではあるのですが,
《変化を緩やかなものに抑える》
というものです。

一見肯定的に見える変化も,長いスパンで見てみると結構そうでもない場合が多いということに,今更ながら気づかされたのです。
この気づき,当然過ぎて拍子抜けという感じを受ける方もおいででしょうが,一般論でなく実体験からの気づきだという点が重要なのです。身を以て得た貴重な気づきを大事にしたいと思います。

私は元来“お調子者”なので,気をつけないとすぐ調子に乗ってしまうのです。朝起きて体調が良いと感じると,普段苦しめられている家族性アミロイドポリニューロパチーの症状のことなど,どこかに飛んでいってしまうのです。
従来の自分の枠を超える(即ち,コンフォートゾーンを抜け出す)ためには大きな変化に対して臆病であってはならないのですが,私の場合は既往症の影響があまりにも大きいので,“さじ加減”に気をつけねばならないのです。

できることとできないことの間には

これもまた改めて述べさせていただきたい内容なのですが,できないことというものは

  1. 今までもできなかったし,これからもできない(できるはずのない)もの
  2. 過去にはできていたが,様々な事情でできなくなったもの
  3. 本来はできるはずだが,なぜかできないもの

など,いくつかの種類に分けることができます。私が実現に向けて努力すべきはどの《できないこと》なのかを見誤らないようにしていきたいと思います。《できること》と《できないこと》の間には厳然とした隔たりのあることを冷静に受け止めたいです。

私はできることのみにフォーカスし,些細なことに一喜一憂することのないように努めていきます。同時に,将来できるようになるための努力も怠らないよう,しかし急激な変化には留意するようにしていきます。